by keipa55
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冬学期、Managerial Decision Makingという授業を取っている。
概要としては、あらゆる意思決定において陥りがちな落とし穴を自覚し、それをいかに避けるかを学ぶもの。「人間は合理的である」という前提の罠を気づかせてくれる心理学に近い特異な授業だが、示唆に富んだ内容でなかなか面白い。 例えばこんなことが出てきた。 Gambler’s fallacy (ギャンブラーの誤謬) これは、ギャンブルで負け続けていたら次はそろそろ勝つだろうと錯覚してしまうことで、確率に対する誤解から生じるもの。 例えばコイン投げの賭博。これまで5回連続で裏が出てきたから、次は表が出て当然だと考えてしまったりする。理論上コインで表が出る確率は50%で、試行は毎回独立であるにも関わらず、それ以前の結果と関連づけて判断を下してしまうことがある。 Ramdomness “ランダムさ”とは? 世の中のランダムな事象は、サンプル数が少ない場合、人間が考えるより秩序だって見えることがある。(Randomness simply looks STREAKIER than we think it does, especially in small samples of data.) 例 以下のどちらが、正しいコインで出てきた結果と思われるか。 A:裏表裏裏裏表表表表裏表裏裏表表表裏裏裏表裏 B:裏表裏表裏表表表裏裏表裏表裏表表裏裏裏表裏 Bの方が正しいコインで出てきたように見えるが、サンプルが少ない場合に現れるランダムさとはAのようなパターンが多い。(実際、クラスでやった実験では、Bを選択した人が6割いた) Regression to the mean (平均への回帰) 飛行士のトレーニングで、「教官が叱ると次の結果が良くなり、うまく行ったときに逆に褒めると次の結果が悪くなる」、という例がある。これは、叱ったことに効果があったから次の結果が良くなったのではなく、そもそも出来が平均より悪かったから、次の試行で平均に戻るような結果(平均への回帰)が出ただけに過ぎない。叱ること(褒めること)とその結果に直接の因果関係はない場合、時間的な前後関係から、因果関係があると人は錯覚してしまうことがある。 回帰の効果を理解することで、過度な評価を下すことのないように留意する必要がある。 見かけ上の確かさ 例 リンダは31歳で、独身、聡明な女性。学生時代、彼女は人種差別や社会的公正などの問題に関心があり、反核のデモにも参加した。彼女のプロフィールを説明するにあたって、もっともありえそうなのは次のうちどれか? A: リンダは銀行の出納係 B: リンダは銀行の出納係であり、かつフェミニスト運動にも積極的 クラスの実験では6割以上の人がBを選択してしまったが、集合論で考えると答えはA。Bは、出納係とフェミニスト運動の論理積が出納係より大きいということになってしまう。 Bounded rationality (限定合理性) 人間は合理的であろうとするものの、社会環境の複雑さや人間の計算能力・情報収集能力の限界などによって、限られた合理性しかもち得えないということ。仮に人間が完全に情報を持ち、無数の選択肢を持ったとしても、それらを一度に比較検討することは実際不可能であり(やったとしてもコストがかかる)、従って完全に合理的な意思決定を行うことはできない。 限定合理性は、経済学で言われる期待効用理論(個人は利益を最大化するための行動を取るという考え)に対する新しい合理性の概念であり、米国の経営学者、システム論者である ハーバード・サイモンによって提唱された。(1978年 ノーベル経済学賞受賞) では人が完全に合理的たりえないならば、一体どのような基準で、経営者は意思決定を行うのか?サイモンによれば、経営者は、最適な意思決定を探索し続けるよりは、満足度基準によって、意思決定を行うとしている。(What we actually observe humans doing is rather than continue to search for the optimal decision, to stop and choose when an acceptable alternative is found.) さらに組織とは、人間の限定合理性を克服するために作られたものであるとも説明している。膨大な情報を処理して、適切な意思決定を選択できる完全な個人は存在しないからこそ、人間は組織を作るのだと。 企業組織における意思決定には、その合理性に加え、メンバーの理解や納得感、満足度を高めていくことが求められるということだろう。それをリードするのが経営者の役割。 -- 他にも様々な例が出てきたが、この授業は自分の意思決定の癖やバイアス(偏り)が分かり、気付きが多い。 人間は性格を変えることは難しいが、それをコントロールすることは不可能ではないように、意思決定における自分の癖を自覚して、それをコントロールしていくことは訓練や周りからのフィードバックによってある程度可能であると思う。
by keipa55
| 2007-02-07 23:59
| MBAの授業
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